発表方法については、HPプレゼンテーションの方法に掲載しました。これを先ず読んでください。ここでは、少しネガティブですが、発表の際の最低限の注意を書きます。あくまでも“最低限の注意”なので、理想の発表はプレゼンテーションの方法を参照してください。
試問の際に最低限、気をつけなければならないのは「試問教員に不快感を与えないこと」です。つまり気持ちよく聞いていただくことです。これは試問に限らずこれから将来何度も行うであろう発表の基本です。では、教員はどういった場合に怒るのか?これには個人差がありますが、おおむね以下のような場合でしょう。
1 礼儀がなっていない。
発表は基本的に敬語・丁寧語で行います。謙虚になることが必要です。ガムを噛みながら説明したり、ポケットに手を入れたり、ふてくされたり、逆切れ(過去にあったらしい)したりすると最低です。また、試問教員に講義するような態度は厳禁です。よって、なるべくちゃんとした服装をしましょう(破れたズボンなどはかないように)。
2 発表が下手、時間を超過する。
時間の超過はルール違反ですから、礼儀に反することになります。また、発表が下手だと、聞いてて、いらいらするので、かなりマイナスです。時間を守るためには、スライドは1分1枚が厳守です。
3 質問をはぐらかす
出された質問に対して、はぐらかすようにいい加減に答える。YES/NOを求める質問をされたらまず、YESかNOかはっきり答えることが重要です。YES/NOをはっきりと答えず、わけのわからない答弁を繰り返す国会議員などは見ていても非常に腹が立つはず。
1. スライドはポイントを明らかに!
スライド(PPT)による発表は論文のポイントをわかってもらうための場です(詳細をわかってもらう場ではない)。ポイントを明らかにしつつ、首尾一貫した流れを持った発表を心がけましょう。また、スライド毎にポイントを書き込んで示したり、途中でポイントをまとめたりすると効果的です。
2. スライドは1枚1分
スライドを「このようになってます」と言って、10秒も見せないで次に行ってしまう人が結構たくさんいます。このようなスライドは超人でない限り認識不能なのでやめましょう。1枚最低30秒、平均1分の説明が必要です。
3. 一番大事なことを述べる
発表は、一番大事なこと・一番伝えたいことに時間を割きましょう。どうでもいいところで時間をとりすぎて肝心なところが駆け足の説明では、何をやっているのかわかりません。
4. グラフは必ず縦軸・横軸を説明する
グラフをただ見せて、「こうなっています」と説明する人がいます。縦軸・横軸を説明して、グラフの意味を説明しないと理解不能です。
5. 時間を超過したら結論を示して終わりにする
時間を超過しているのに、長々と結論を読む人がいます。まわりがイライラしてしまうので、結論は示しておいて読んでもらうようにして、発表を終わらせましょう。もし、時間が余った場合は逆に、結論を丁寧に説明しましょう。時間調整に使えます。
6. 見えないグラフ・データは人を不快にする
PPTの登場により減りましたが、字が小さかったり、グラフが読みにくかったりすると、それだけでマイナスイメージです。おおげさに大きめに書きましょう。
7.自分の明らかにした範囲をしっかりと示す。
どんな研究者でも、論文のすべてを自分で解決できているはずはありませんし、課題は残っているはずです。論文で重要なことは、どこまでが既にやられていて、どこまでを自分がやって解決したかということです。研究のレベルは全く関係ありません。「背景」と自分の「結果」と「今後の展望」をしっかりと示しましょう。
試問の質問のパターンはいくつかお決まりのものがあります。あらかじめ以下のような質問に対しては最低限答えを用意して試問にのぞめば安心です。あらかじめ、練習の時に友人に聞いてもらい、想定問答集を作っておくのもよいでしょう。
質問1)あなたの研究の独創性はどこにありますか?
研究論文に一番大事な独創性を問う質問。
質問2)あなたの研究はどのようなところで役にたちますか? 貢献できますか?
工学系の研究に重要な、社会への貢献の認知度を問う質問
質問3)あなたの研究の中で、あなたが具体的にやったのはどの部分ですか?
長年研究室で受け継がれている研究に対して、よくされる質問。発表は、自分が新たに研究する部分に重点を置き、過去の発表との差別化を図りましょう。
その他、
質問4)あなたの研究と同じような研究は行われていますか?
研究分野の背景について、ちゃんと理解しているかを問う質問。これと類似の質問として、「あなたの研究は○○先生が既にやっているよ」という強烈な質問がある。この場合、○○先生の研究との違いを答えなければならない。
質問5)要約すると、どういうことをやって、どういう結果が出たの?
発表がへたくそで、内容が全然理解されなかった時に出る質問。これと類似の質問が出た場合、丁重にお詫びして、なるべく簡潔に研究の内容を質問しなければならない。
質問6)△△の手法をやってみたらどう?(例:FFTでやってみたらどう?)
当研究室の学生が受けた質問。試問教員の親切なアドバイスだが、△△の部分が理解出来なければ固まってしまうしかない。丁重に、△△の部分の意味を教えてもらいましょう。
最後に:これらは、あくまでも基礎の基礎、最低限のルールです。プレゼンテーションの方法を読んだり、他の人の発表を参考にしたりして、さらに良い発表を心がけましょう。